夫婦は一緒に1つの遺言書を作れない
「夫婦で1通の遺言書を作りたい」という相談はとても多いですが、
法律で“共同遺言”は禁止されています。
民法が「共同遺言」を禁止している
夫婦が1枚の紙に「双方の遺言」を書くことは法律上できず、作ってしまった場合は一部例外を除き 遺言全体が無効 となります。
1通にまとめると遺言が“無効”になるリスク
例えば、次のようなケースはNGです。
- 「妻と夫が同じ紙に署名・押印」
- 「同じ文章に2人の意思が混在」
- 「夫婦連名の遺言書」
- 同じ書面
形式に不備があるため、
残された家族が使おうとしても効力がない 可能性が非常に高いです。
よくある「夫婦で1枚の遺言に署名」の誤解
「契約書みたいに夫婦双方が署名したらよいのでは?」という誤解が多いですが、遺言は契約ではありません。
遺言はあくまで
“1人が、自分の死後の財産処分を決める”
という一方的な意思表示です。
夫婦が別々に作成しなければいけない理由
遺言は「撤回の自由」が本質
遺言の大原則は、
いつでも自由に撤回できる という点にあります。
夫婦で1つにしてしまうと、
一方が内容を変えたい時に 勝手に変更できない という問題が生じます。
どちらかの気持ちが変わった時に困る
例えば…
- 気持ちの変化
- 家族関係の変化
- 介護・医療・財産状況の変化
- 子どもとの関係悪化
こういった変化に合わせて、
遺言は柔軟に書き換えできなければいけません。
死亡の順番で内容が変わる可能性がある
夫婦はどちらが先に亡くなるか分かりません。
死亡順によって、最適な遺言内容は変わります。
だからこそ
「夫は夫の遺言」
「妻は妻の遺言」
を作る必要があります。
では、夫婦で同じ希望がある場合は?
内容は“揃えてもOK”
よくあるケースは
「まず配偶者へ全財産 → その後は子どもへ」
というパターン。
これは構いません。
内容は似ていても、作成は別々にする必要があります。
ただし作成は必ず別々に
法律的に有効であることが最優先です。
- 遺言の作成日
- 公証人の関与
- 証人の立ち会い
- 本人確認
これらは それぞれ個別に行われます。
つまり2種類の遺言公正証書が必ず必要です。
公正証書遺言で整合性を保ちやすい
夫婦が同じ方針を持っている場合、
公正証書遺言 が最も整合性を確保しやすい形式です。

公正証書遺言で作るメリット
内容の不整合を防げる
公証役場で内容をチェックするため、
夫婦それぞれの遺言に矛盾が生じにくくなります。
遺言が無効になるリスクが激減
公正証書遺言は形式が整っているため、
家庭裁判所の検認も不要で、
確実に使える遺言 として残せます。
公正証書遺言は裁判所不要でそのまま効力が強いものです。
遺留分を考慮した調整ができる
夫婦や子どもへの配分について、
遺留分トラブルにならないよう調整できます。
実務でよくある夫婦の遺言パターン
互いに全財産を相続 → その後は子どもへ
もっとも多いシンプルな形。
二次相続まで見据えた内容にします。
再婚家庭・連れ子がいる場合の注意
このケースでは優先すべき条項 が大きく変わるため、夫婦で必ず個別に内容を調整する必要があります。また養子縁組の時期によっても内容が変わります。
「認知症リスク」を踏まえた作成
年齢が近い夫婦では、どちらかが先に認知症になる可能性があり、
判断能力の低下は遺言作成が困難になります。
早めの作成が重要です。
大阪で公正証書遺言を作る流れ
必要書類
- 戸籍謄本
- 住民票
- 財産資料(不動産評価証明書、通帳コピー 等)
- 相続人の情報
公証役場での手続きの流れ
- 事前相談(内容の確認)
- 公証役場での文案作成
- 公証人による読み上げ
- 電子署名 NEW
- 正本と謄本の交付
まとめ|夫婦遺言は“別々に”が鉄則
- 夫婦で1通の遺言書は作れない
- 法律で共同遺言は禁止
- 将来の変更・撤回の自由を確保するため
- 公正証書遺言なら整合性を保ちやすい
夫婦の遺言ほど、実務の差が将来の安心に直結します。

大阪で公正証書遺言を作りたい方、夫婦でどう作るべきか迷っている方はご相談ください。
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